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自己破産は2回目も可能?免責許可の判断基準や注意点を解説

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自己破産は2回目も可能?免責許可の判断基準や注意点を解説

自己破産を検討中の方や一度すでに自己破産をされた方で、「自己破産って2回目でもできるの?」「2回目の自己破産が通りやすくなる方法を知りたい」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

結論、自己破産は2回目でも問題なく申し立てることが可能です。ですがいくつかの条件が存在します。

そこでこの記事では、以下の内容を中心に解説しています。

  • 2回目の自己破産で免責許可の判断をされるポイント
  • 2回目の自己破産における2つの注意点
  • 2回目の自己破産ができなかったときの対処法

2回目の自己破産について不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.自己破産は2回目もできる

自己破産を2度おこなうことは、法的に可能です。自己破産については破産法で定められていますが、自己破産の回数に上限は設けられていません。

よって原則として、2度、3度、4度と自己破産を申し立てることはできます。

1-1.1回目と比較して審査は厳しくなる

2回目の自己破産を申し立てる際には、1回目の申し立てと比べて、より厳しい審査が待っていることを覚悟しなければなりません。審査の厳格化だけでなく、手続きの過程や必要となる費用の面でも、より大きな負担が伴うことが一般的です。

2.2回目の自己破産で免責許可の判断をされる4つのポイント

2回目の自己破産で免責許可の判断をされるポイントは、主に以下の4つです。

  1. 1回目の免責許可から7年以上経過しているか
  2. 1回目の自己破産と違う原因かどうか
  3. 2回目の自己破産もやむを得ない事情があるか
  4. 2回目の自己破産に対し反省をしているか

2回目の自己破産を申し込む前に、それぞれのポイントを理解しておきましょう。

2-1.1回目の免責許可から7年以上経過しているか

2回目の自己破産をおこなう場合は、原則として1回目の免責許可から最低でも7年が経過していなければなりません。これは破産法に基づくもので、7年未満で再び自己破産を申し立てる場合、通常は免責を受けることができません。

第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする
 十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
  イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日

引用:破産法 | e-Gov法令検索

上記は、「免責許可の決定が確定してから7年以内に自己破産申し立てがされた場合は、免責が許可されない」ということを指しています。

しかし、特別な事情がある場合、たとえば重い病気や職の喪失などがあるならば、裁判所はこれを考慮し、7年未満であっても債務の免除を認めることがあるんです。これを裁量免責と呼び、債務者の具体的な状況を踏まえた柔軟な対応が可能となっています。

2-2.1回目の自己破産と違う原因かどうか

2回目の自己破産を申し立てる際には、「前回と異なる原因によるものであること」が重要な判断基準となります。もちろん、同じ原因での自己破産申請が全く認められないわけではありませんが、その可能性は極めて低いと考えた方が良いです。

自己破産制度は、返済不能に陥った個人を支援する目的で設けられており、裁判所は申請者が過去の行動から学んでいるか、同じ過ちを繰り返さないかを重視して判断します。前回の自己破産と同じ理由で再び借金をしてしまった場合、裁判所はその人が反省しておらず、将来も同様の行動を繰り返す可能性があると見なされ、2回目の申請は認められにくいとされています。

2-3.2回目の自己破産もやむを得ない事情があるか

2回目の自己破産に際して免責を受けるためには、裁判所が納得する程度のやむを得ない事情があるかどうかが鍵となります。たとえば、家族の医療費や介護費用など、避けられない理由で借金を負った場合は、免責が認められる可能性が高まります。

2-4.2回目の自己破産に対し反省をしているか

自己破産手続きが進むと、多くの場合は債権者にとって大きな損失を被ります。そのため、自己破産を経験した人は、再び同じ道を歩まないよう深い反省が求められます。

ですが2度目の自己破産は、その人が反省をしていない可能性があると見なされがちです。2回目の自己破産を申し立てる際には、過去の行動を真摯に反省していることを裁判所に示すことが、非常に重要になります。

3.2回目の自己破産における2つの注意点

2回目の自己破産では、以下の2点に注意してください。

  1. 管財事件として扱われる可能性がある
  2. 免責不許可事由に該当しない

一つずつ解説をしていきます。

3-1.注意点①管財事件として扱われる可能性がある

2回目の自己破産は、管財事件として扱われる可能性が高いです。

自己破産手続きは財産を処分して債権者に分配する必要があり、通常は「同時廃止事件」と「管財事件」のどちらかの方法で進められます。それぞれについては以下の通りです。

同時廃止事件同時廃止事件は、破産手続きを開始する際に、処分すべき財産が実質的に存在しないと明らかな場合に適用されます。
免責不許可の事由がなければ手続きが直ちに廃止され、通常は追加の費用が発生しません。
同時廃止事件は初回の自己破産申請時に多く用いられ、管財事件に比べてコストが抑えられるというメリットがあります。
管財事件管財事件では、破産者の財産を管理し、処分するための破産管財人が指名されることで、高額な費用が伴います。
加えて、生活状況や破産に至った背景について裁判官による面接が実施される可能性があり、1回目の自己破産よりも審査が厳しくなるため、コスト面だけでなく手間も増えます。

2回目の自己破産はほとんどの確率で管財事件となるのですが、どのような影響があるのかより具体的に解説していきます。

3-2-1.破産管財人を選定しなければならない

破産管財事件を進める際には、破産管財人の指名が必須です。破産管財人は、破産者の資産を管理したり、債務免責の妥当性を評価するなど、中立的な立場で活動します。

破産者が直接この人物を選ぶことはできず、裁判所が地元の弁護士のなかから選任することが多いです。

3-2-2.破産管財人による調査に積極的に応じなければならない

破産管財人や裁判所の調査は、自己破産手続きにおいて重要な役割を果たします。調査への協力が不十分だと、免責が認められない可能性が高まるためです。

裁判所の質問には正直に答え、調査を妨害する行為は刑事罰の対象となることもあり得るため、注意しなければなりません。

3-2-3.1回目の自己破産より手間や費用がかかる

管財事件における自己破産には破産管財人が関与するため、手続きにはより多くの時間と費用がかかります。たとえば、同時廃止の手続きが約30万円で済むのに対し、管財事件では70万円以上の費用が見込まれます。この差は主に破産管財人の調査費用(予納金)によるもので、前払いを求められることが基本です。

さらに、破産管財人による財産調査には時間を要するため、時間と手間が増えることも確実です。

3-4.注意点②免責不許可事由に該当しない

破産法に定められた免責不許可事由に該当する行為は、原則として免責を受けられません。免責不許可事由には、以下のようなものが含まれます。

  • ギャンブル
  • 賭博
  • 射幸行為(仮想通貨や先物取引などの投資活動)
  • 過度な遊興費(娯楽による収入に不釣り合いな出費)
  • 不当な転売行為
  • 債権者への意図的な損害行為
  • 虚偽の説明

初回の自己破産でこれらの事由があっても免責を受けられる場合がありますが、同じ事由で再度自己破産する場合、免責を受けるのはほぼ不可能に近くなります。

4.2回目の自己破産ができなかったときの対処法3選

2回目の自己破産ができなかったからといって、まだ諦めてはいけません。以下3つの対処法のいずれか一つでも試してみてください。

  • 即時抗告をする
  • 任意整理に切り替える
  • 個人再生に切り替える

4-1.即時抗告をする

免責が認められなかった場合、即時抗告を通じて判断の見直しを求めることが可能です。

即時抗告とは、元の裁判所の上位に位置する裁判所に対して、決定や命令の再検討を依頼する手続きです。地方裁判所からの決定に対し即時抗告すると、その上位にある高等裁判所が新たに判断を下します。

免責不許可の決定から1週間以内に即時抗告を行う必要があります。

4-2.任意整理に切り替える

債務整理は、裁判所を介さず、債務者と債権者が直接交渉して利息の減額や分割払いを決定する手法です。交渉を通じて、例えば利息を削減したり、遅延損害金の免除を受けたりしながら返済計画を立てます。

任意整理は、元金の返済は継続され、完済を目指すことが前提です。そのため、定期的な収入が必要です。任意整理を進めるかどうかは債権者の判断に委ねられているため、専門家へ相談するのが望ましいです。

任意整理については、以下の記事をご覧ください。

任意整理は意味ない・しなければよかったと後悔しないためにできること

4-3.個人再生に切り替える

個人再生では、裁判所を通じて債務を原則として元の5分の1、最大で10分の1まで減額し、3年以内に返済する手続きをおこないます。

個人再生では住宅ローン特則を利用できるため、特定の条件下で住宅を保持しながら債務整理が可能です。自己破産では住宅を失う可能性が高いですが、個人再生を選択すれば、家を維持しつつ計画的に債務返済を進めることができます。

ただし、債務自体は消滅せず、責任を持って返済を続ける必要があります。

5.2回目の自己破産は専門家へ相談しよう

2回目の自己破産を考える際には、通常の免責許可事由を満たすことに加え、以下の条件も満たさなければならず、難易度が高いといえます。

  • 1回目の免責許可から7年以上が経過していること
  • 前回とは異なる原因での自己破産であること

また、2回目の自己破産は費用が増加するだけでなく、手続きの複雑さや時間のかかり具合も初回と比べて複雑になり、個人で全てを管理するのは困難です。

そこで経験豊富な専門家に相談することで、このような困難な案件でも円滑に進めることが可能になります。多くの自己破産案件を扱ってきた法務の専門家なら、2回目の自己破産に関しても的確なアドバイスを提供できるためおすすめです。

佐藤司法書士事務所では、自己破産について初回無料でご相談に対応させていただいていますので、まずは一度ご相談ください。

6.2回目の自己破産に関連するよくある質問

2回目の自己破産について当事務所へよくいただくご質問とその回答をまとめました。

6-1.Q.2回目の自己破産はできますか?

自己破産には回数の制限がないため、2回目やそれ以上の自己破産申請も可能です。ですが、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 1回目の免責許可から7年以上経過しているか
  • 1回目の自己破産と違う原因かどうか

また、裁判所から免責決定を受けて7年以内であっても、裁量免責制度を通じて免責を受けられる可能性もあります。

6-2.Q.1回目の自己破産と同じ理由で2回目の自己破産はできますか?

2回目の自己破産を1回目と同じ理由で申し立てることは原則として不可能です。免責不許可事由に該当する場合(ギャンブル、賭博、射幸行為、過度の遊興費など)は、同じ理由での免責を受けるのは非常に困難となります。

6-3.Q.自己破産は何回でもできますか?

法的に自己破産の回数に制限は設けられていないため、複数回おこなうことが可能です。ただし、自己破産を繰り返すごとに費用や手間は増加し、自己破産を成功させるための障壁はより高くなる傾向にあります。

7.まとめ

自己破産は回数に制限がないため、2回目でも申し立てをすることが可能です。ですが、「前回の免責許可から7年間経過している」や「前回と同じ理由で自己破産を申し立てない」などいくつかの条件を満たすことが必須です。

また、1回目の自己破産と比較して、2回目のほうが手間やお金が増えるため、1人で進めるのが困難になる可能性があります。そのため、専門家の力を借りて自己破産を進めるのも一つの手段です。

福岡市博多区にある佐藤司法書士事務所では、設立当初から自己破産に注力しており、15年以上の豊富な経験と実績があります。加えて、初回相談・着手金・減額成功報酬0円で承っております。

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コラム監修者

佐藤司法書士事務所 佐藤 直幸
佐藤 直幸
福岡市で債務整理業務15年以上で経験豊富な司法書士
借金の問題は「早く解決したほうがいい」ということに尽きます。
長く放置して解決できなくなる前にご相談ください。
相談しにくいことではあると思いますが、敷居を低くしてお待ちしていますので
遠慮なくご連絡いただけると幸いです。
誠心誠意対応させていただきます。早めにご相談ください。
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