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【徹底解説】自己破産の予納金とは?金額の目安や支払えないときの対処法

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【徹底解説】自己破産の予納金とは?金額の目安や支払えないときの対処法

経済的困難に直面し自己破産を検討する中で、避けて通れないのが「予納金」の問題です。裁判所に納める予納金は自己破産手続きの重要な一歩ですが、その金額や支払い方法に不安を抱える人も多いでしょう。

そこでこのコラムでは、以下の内容を解説しています。

  • 予納金の概要と金額の目安
  • 予納金の支払いが発生するタイミングと納付方法
  • 自己破産の予納金を支払うお金がないときの対処法5選

予納金について知ることは、自己破産を進めるうえで非常に大切です。自己破産を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.自己破産の予納金とは?

自己破産の予納金とは、自己破産の手続き時に裁判所に対して支払う必要がある費用のことです。この予納金の金額は、破産者の財産の有無によって異なります。

原則として、この予納金を支払わなければ破産手続きを進めることはできないため、自己破産を進めるのであれば必須になる費用です。

「借金で生活が厳しい中で予納金を用意するのは難しい」と感じる方もいるかもしれませんが、自己破産を専門家に依頼した時点で債権者からの取り立てや督促が止まりますので、それまで返済に充てていた分を積み立てて予納金を準備することができます。

1-1.自己破産の予納金には4つの種類がある

自己破産にかかる予納金は、主に以下4つの費用が含まれます。

  • 手続き手数料
  • 官報公告費
  • 手続きを進めるための郵送切手代
  • 引継ぎ予納金

それぞれ見ていきましょう。

1-1-1.手続き手数料(約1,500円)

自己破産には、手続きをおこなうための手数料が必要です。

個人の自己破産の場合、手数料は約1,500円です。申立書に収入印紙を貼付する形で納付します。

1-1-2.官報公告費(約10,000円〜18,000円)

自己破産をすると、官報という国が発行する機関紙に掲載されます。そのための費用が、官報公告費です。

官報に自己破産の情報が掲載されるのは、自己破産が多くの利害関係者に影響を与えるためです。破産に関する情報を国から報告することで、利害関係者が自己破産について知る手段を提供しています。

官報広告費は地方裁判所や手続きの種類によって異なりますが、一般的には約10,000円から18,000円程度です。支払い方法としては、裁判所の会計窓口で現金で支払うか、銀行振込を利用するかの2択があります。

1-1-3.手続きを進めるうえで必要になる郵送の切手代(約4,000円)

自己破産の手続きには、債権者への通知などのために郵便切手代も必要です。切手代は各地方裁判所によって異なりますが、約4,000円程度が目安です。

切手は裁判所にてセットで販売されており、通常はそれを購入して利用します。

1-1-4.引継ぎ予納金(200,000円以上)

予納金の中で最も高額なのが、管財事件の場合に必要となる「引継ぎ予納金」です。引継ぎ予納金には、破産管財人への報酬や財産の処分にかかる費用が含まれます。

引継ぎ予納金は、各地方裁判所によって異なりますが、最低でも200,000円からで、債権者の数や負債額によってさらに追加されることがあります。ただし、自己破産が同時廃止で処理される場合には、引継の予納金は必要ありません。

1-2.予納金は「地方裁判所」により異なる

予納金は、地方裁判所によって異なります。以下で「同時廃止」の場合の予納金を比較していきます。

同時廃止の予納金東京地裁大阪地裁福岡地裁
手続き手数料1,500円1,500円1,500円
官報公告費11,859円11,859円11,859円
切手代4,400円840円84円×債権者の数

上記の金額は時期によって異なる可能性があります。自己破産を進める前に、裁判所や専門家に確認してみてください。

1-3.同時廃止か管財事件でも異なる

自己破産の予納金は、「同時廃止」か「管財事件」によっても異なります。詳しく見ていきましょう。

1-3-1.同時廃止の場合

同時廃止とは、自己破産において破産者の持つ財産が少なく債権者に配分することが不可能な場合に執り行われる手続きです。破産手続きが開始されると同時に終了することから、「同時廃止」といわれています。

同時廃止の場合は手続きが比較的少ないため、それに比例する形で予納金も少なくなっています。詳しくは、「1-2.予納金は「地方裁判所」により異なる」で記載した表を参考にしてください。

また同時廃止については以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事:自己破産の同時廃止とは?同時廃止となるケースや手続きの流れ | 佐藤司法書士事務所

1-3-2.管財事件の場合

管財事件は、自己破産のなかでも債務者が一定の財産を持っている場合に進められ、破産管財人が指名されることから「管財事件」という名称がついています。破産管財人は、債務者の財産を管理・処分し、その収益を債権者に配分する役割があります。

管財事件は手続きが複雑になり、破産管財人による調査費用も負担する必要があることから、引継予納金が最低でも500,000円以上必要になる自己破産の方法です。以下のような場合に管財事件として扱われます。

  • 財産が評価額20万以上ある場合
  • 33万円以上の現金がある場合
  • 個人事業主・法人・法人代表者の場合
  • 免責調査する必要がある場合

費用の目安は以下のようになっています。

同時廃止の予納金東京地裁大阪地裁
手続き手数料1,500円1,500円
官報公告費18,543円15,499円
切手代4,400円3,510円
引継予納金500,000円〜500,000円〜

管財事件の引継予納金は、破産申立人が抱える債務の金額によって変わります。通常債務が多ければ多いほど金額も大きくなるので、注意が必要です。

管財事件については以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事:自己破産の管財事件とは?管財事件になるケースや流れ・注意点を解説

1-3-3.少額管財事件の場合

少額管財事件とは、「小規模管財」や「簡易管財」とも呼ばれ、その名の通り小規模な財産の破産案件に適用されます。引継予納金を20万円とすることで、より多くの人が自己破産を選択しやすくなっているのが特徴です。

少額管財事件の場合、以下のような金額になります。

同時廃止の予納金東京地裁大阪地裁
手続き手数料1,500円1,500円
官報公告費18,543円15,499円
切手代4,400円3,510円
引継予納金200,000円〜216,000円〜

少額管財事件は、弁護士に依頼をする必要があり、別途弁護士費用も発生します。また、地方裁判所によって対応していない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

2.自己破産の予納金はいつ支払う?

自己破産の予納金は、破産申し立て後約2週間から1カ月程度が一般的です。予納金を支払わないと破産手続きが進まないため、裁判所から連絡が来たら速やかに支払うことが重要です。

東京や大阪などの地方裁判所では「即日面接」という制度があり、申し立て当日に破産手続きの開始決定がなされることがあります。この場合、予納金も同日に納めなければなりません。分割払いは基本的に認められていませんが、東京地裁では20万円の引継予納金に限り、手続き開始後に4回の分納を認める場合もあります。

予納金は、支払いが遅れると裁判所から破産手続きを取り下げるように求められることがあるため、破産手続きを決めた段階で、無理のない範囲で予納金を積み立てておきましょう。

専門家に依頼する場合、予納金の支払いを優先するように相談に乗ってくれることもあります。

2-1.自己破産の予納金納付方法

予納金の納付方法には、主に以下の2つがあります。

裁判所の窓口で一括支払い現金を持参して直接支払う方法
銀行振込指定された銀行口座に振り込む方法

裁判所によっては、特定の条件下で分割払いに対応している場合もありますので、事前に確認することをおすすめします。

3.自己破産の予納金を支払うお金がないときはどうする?対処法5選

自己破産を検討している方にとって、予納金の金額を支払えるのか不安になる方も多いのではないでしょうか。もし自己破産の予納金を支払えない場合は、以下5つの対処法を検討してください。

  • 専門家へ相談する
  • 専門家へ分割で預けておく
  • 裁判所へ分割払いの相談をする
  • 同時廃止で処理をしてもらう
  • 法テラスを利用する

それぞれ解説します。

3-1.対処法①専門家へ相談する

自己破産を司法書士や弁護士などの専門家に依頼している場合、その専門家へ資金面の相談をしてください。専門家に相談することで、予納金がいくらになるかを事前に把握し、手続きのスケジュールを調整することが可能です。

また場合によっては、専門家から裁判所に予納金額の低減を働きかけてもらえる場合もあります。

依頼する専門家によって対応は異なるので、どのように進めてもらえるのかを事前に確認しておきましょう。

3-2.対処法②専門家へ分割で預けておく

自身でお金を管理するのが難しい場合は、専門家へ分割で預けておく方法もあります。

自己破産を専門家に依頼すると、受任通知が送付されるため、取立てが一時的にストップします。その間に手続きの準備を進めるのが一般的です。この期間中は返済が不要となるため、その分を積み立てて予納金を準備することができます。

自身で積み立てるのが難しい場合には、専門家にお金を預けて代わりに積み立ててもらいましょう。

3-3.対処法③裁判所へ分割払いの相談をする

特に高額な管財予納金については、裁判所に申し出ることで分割払いを認めてもらえる場合があります。たとえば、東京地裁では4回までの分割払いが可能です。

ただし、必ずしも分割払いの許可が出るわけではないため、事前に専門家へ相談し、裁判所の対応を確認しておく必要があります。

3-4.対処法④同時廃止で処理をしてもらう

前述したように、自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類がありますが、引継ぎ予納金の発生しない同時廃止で処理をしてもらうことで、予納金を節約できることになります。

ただし、同時廃止が認められるかどうかは裁判所の判断によるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

3-5.対処法⑤法テラスを利用する

法テラス(日本司法支援センター)は、法的トラブルを解決するための公的な支援機関です。法テラスを利用すれば、予納金だけでなく専門家の依頼費用についても支援を受けることができます。

また、法テラスでは費用の立替もおこなっており、毎月5,000〜10,000円程度の分割払いも可能です。ただし、立替が可能なのは手続き費用のみで、予納金は対象外です(生活保護受給者を除く)。

法テラスに手続き費用を立て替えてもらえれば、予納金の準備がしやすくなるでしょう。

4.生活保護受給中の自己破産は予納金や専門家への依頼費が猶予される

生活保護を受給している場合、自己破産の手続きにかかる予納金や専門家への依頼費用の支払いが猶予されます。生活保護受給中の方が法テラスを利用することで、予納金や弁護士費用まで立て替えてもらえるためです。

ただし、支払いの猶予は生活保護受給中のみの適用となります。生活保護の受給が停止された場合は支払いが必要となる点に注意してください。

5.まとめ

自己破産の予納金とは、自己破産の手続きに伴い裁判所へ支払う必要のある費用のことを指します。予納金では主に、以下4つの費用が発生します。

  • 手続き手数料
  • 官報公告費
  • 手続きを進めるための郵送切手代
  • 引継ぎ予納金(管財事件の場合のみ)

具体的な金額は裁判所によって差がありますので、自己破産申請前に必ず確認しておきましょう。

また、自己破産が管財事件として処理される場合は、最低でも200,000円以上の引継ぎ予納金が必要です。スムーズに破産手続きを進めるためにも、司法書士や弁護士など専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

福岡市博多区にある佐藤司法書士事務所では、設立当初から自己破産に注力しており、15年以上の豊富な経験と実績があります。加えて、初回相談・着手金・減額成功報酬0円で承っております。

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コラム監修者

佐藤司法書士事務所 佐藤 直幸
佐藤 直幸
福岡市で債務整理業務15年以上で経験豊富な司法書士
借金の問題は「早く解決したほうがいい」ということに尽きます。
長く放置して解決できなくなる前にご相談ください。
相談しにくいことではあると思いますが、敷居を低くしてお待ちしていますので
遠慮なくご連絡いただけると幸いです。
誠心誠意対応させていただきます。早めにご相談ください。
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