債務整理
債務整理
「債務整理を検討しているけど、家族にどんな影響があるのかわからなくてなかなか踏み出せない」「家族にバレずに債務整理をおこなう方法があるなら知りたい」とお考えではありませんか?
債務整理とは、法的な手続きや交渉を通じて借金の負担を軽減または免除し、経済的な生活の再建に有効な方法です。ただし、借金の存在を家族に知られたくない方にとっては、債務整理によって家族にどんな影響があるのかわからず、なかなか手続きを進められない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
この記事を読めば、債務整理による家族への影響を正しく理解し、借金問題解決への前向きな一歩を踏み出すための確かな情報が見つかります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
債務整理をしても、家族や子どもに直接的な大きな影響が出るケースは限定的です。多くの方が心配される財産の差し押さえや信用情報への影響も、一定のルールに基づいておこなわれるため、すべてを失うわけではありません。
今後の生活再建に向けて、債務整理が家族に与える影響はなんなのか、何を守れるのか正確に理解しておくことが大切です。
債務整理をしても、すべての財産が差し押さえられるわけではありません。生活に必要な家財道具や、一定額以下の現金などは手元に残すのが認められています。
これは、自己破産手続きにおいても同様で、債務者の生活再建を考慮した法律が定められているのです。
たとえば、テレビや冷蔵庫、洗濯機といった生活家電や、仕事に必要な道具などは原則として守られます。
どの財産が対象となるかは債務整理の方法や個々の状況によって異なりますので、専門家に相談して確認するのが重要です。
債務整理の方法によっては、持ち家に住み続けることが可能です。とくに「個人再生」という手続きでは、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」という制度を利用すると、住宅ローン以外の借金を整理しながら、マイホームを守れる場合があります。
任意整理の場合も、住宅ローンはそのまま支払い続け、他の借金のみを整理対象とすれば、持ち家を手放す必要はありません。ただし、自己破産の場合は原則として持ち家は処分対象となるため、どの手続きを選択するかが非常に重要になります。
親が債務整理をおこなったとしても、それが直接子どもの進学や結婚に影響するとは限りません。子どもの奨学金の利用や、結婚相手の家族からの信用調査などで、親の債務整理の事実が不利に働くのではないかと心配される方もいますが、基本的には別の問題として扱われます。
奨学金は子ども本人の名義で借りるものですし、結婚に関しても、親の経済状況が法的に問題視されるケースは通常ありません。大切なのは、「子ども自身が将来に向けて前向きに進めるようサポートする姿勢」です。
債務整理をおこなった場合、その影響が家族の信用情報に及ぶことは基本的にありません。信用情報機関に事故情報として登録されるのは、あくまで債務整理の手続きをおこなった本人に限られます。
したがって、配偶者や子どもがクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりする際に、本人の債務整理が原因で審査に通らなくなるという「直接的な影響」はないと考えてよいでしょう。
家族はこれまで通り、自身の信用情報をもとに金融機関の審査を受けることができます。
ブラックリストとは、信用情報機関に登録される事故情報の俗称です。実際に「ブラックリスト」という名前のリストが存在するわけではなく、クレジットカードの支払いやローンの返済が長期間遅れたり、債務整理をおこなったりすると、その情報が信用情報機関に一定期間記録される状態を指します。
債務整理によって事故情報が登録されている間は、新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなります。
関連記事:【徹底解説】任意整理とブラックリストの関係!いつ登録され何年で消える?
ブラックリストに載るのは、債務整理の手続きをおこなった本人だけです。家族が本人の借金の保証人になっていない限り、家族の信用情報に影響はありません。
たとえば、夫が債務整理をした場合、妻や子どもの信用情報に夫の事故情報が登録されることはありません。そのため、家族は引き続きクレジットカードを利用したり、ローンを組んだりすることが可能です。
ただし、家族カードを利用している場合は、本会員である債務整理者が利用できなくなると、家族カードも使えなくなる点には注意が必要です。
一方、債務整理によって家族や子どもに影響が出るケースも存在します。それは、以下のようなケースです。
それぞれ解説していきます。
家族が借金の保証人や連帯保証人になっている場合、債務者本人が債務整理をおこなうと、保証人である家族に直接的な影響が出ます。そのため、保証契約の内容を事前にしっかり確認しておく必要があります。
関連記事:自己破産で連帯保証人に与える影響は大きい!迷惑をかけない方法はある?
家族が保証人になっている場合、主債務者(お金を借りた本人)が返済できなくなると、保証人が代わりにその借金を返済する義務を負います。これは法律によって定められた責任であり、債務整理の手続きを開始すると、債権者は保証人に対して請求をおこなうのが一般的です。
とくに連帯保証人の場合は、主債務者と同等の重い責任を負うため、返済資力がない場合は非常に厳しい状況に立たされます。場合によっては、連帯保証人までもが債務整理をおこなう自体になりかねません。
保証契約を結ぶ際は、このようなリスクを十分に理解しておくのが重要です。
離婚したとしても、元配偶者の借金の保証人になっている場合、その返済義務はなくなりません。保証契約は、夫婦関係とは関係のない、独立した契約だからです。
たとえ離婚協議で元配偶者が「借金は自分が全額支払う」と約束したとしても、それはあくまで当事者間の取り決めであり、債権者に対して保証人としての責任が免除されるわけではありません。
したがって、離婚後も元配偶者が返済を怠れば、保証人に請求が来ることになります。
自己破産を選択した場合、債務者本人の財産状況によっては、家族全体の家計に影響が及ぶ可能性があります。自己破産では、裁判所が選任した破産管財人によって、債務者の財産調査がおこなわれ、生活に必要な最低限の範囲を超える財産は換価処分(お金に換えること)の対象となるからです。
これにより、家族が共有して使っていたものがなくなったり、生活レベルの変更を余儀なくされたりする場合も考えられます。
原則として、差し押さえの対象となるのは債務整理をおこなう本人名義の財産のみであり、家族名義の財産が直接差し押さえられることはありません。
しかし、実質的には本人の財産であるにもかかわらず、名義だけを家族に移していると判断された場合(財産隠しと見なされる場合)は、その財産も処分の対象となる可能性があります。
自己破産をおこなう場合、一定以上の価値がある持ち家や車は、原則として差し押さえの対象となり、処分される可能性が高いです。
持ち家の場合、住宅ローンが残っていなくても、資産価値が高ければ手放さなければならないケースが一般的です。車も、ローンの支払いが終わっていて、かつ一定の評価額以上であれば処分の対象となり得ます。
債務整理をした本人の信用情報がブラックリスト状態になっても、原則として家族の信用情報に直接的な影響はないため、家族がクレジットカードを作ったりローンを組んだりする際の審査がそれだけで厳しくなるわけではありません。
しかし、生計を同一にしている場合、たとえば同じ住所の家族がクレジットカードやローンの申し込みをおこなうと、金融機関が世帯全体の経済状況を考慮し、間接的に審査へ影響が出る可能性は否定できないのです。
特に、債務整理をした本人が家族の収入に大きく依存している場合、慎重な判断がなされる場合があります。
関連記事:任意整理中や和解後にクレジットカードは作れる?作れたケースとは?
家族のクレジットカードやローンの審査への間接的な影響を懸念する場合、別居して生計を完全に分けるのも一つの考え方です。生計を別にすれば、金融機関は申込者個人の信用情報や収入状況をより重視して審査をおこなう傾向があるからです。
ただし、これはあくまで審査への影響を軽減する可能性のある手段の一つであり、必ず審査に通るようになるというわけではありません。また、別居には生活費の増加など他の側面も考慮する必要があるため、状況を総合的に判断して検討するのが賢明です。
債務整理をおこなうと、信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間、子どもの奨学金の保証人になるのは難しくなります。
奨学金には、親などが保証人になる「人的保証」と、保証機関が保証する「機関保証」の2種類があります。債務整理をした親は、人的保証の保証人としての適格性を満たせない可能性が高いです。
しかし、機関保証制度を利用すれば、保証料を支払うことで保証機関に保証してもらえるため、親が保証人になれなくても奨学金を利用できる道はあります。
借金を抱えたまま本人が亡くなった場合、その借金は原則として法定相続人である家族に相続されます。
相続は、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐのが基本です。そのため、故人に多額の借金があった場合、残された家族がその返済義務を負うことになり、生活に大きな影響が出る可能性があります。
相続が発生したら、故人の財産調査を速やかに開始することが重要です。
故人に多額の借金があり、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合、相続人は「相続放棄」という手続きをおこなえます。相続放棄とは、家庭裁判所に申し立てることで、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないとする制度です。
相続放棄を申請すれば、故人の借金を返済する義務はなくなります。ただし、一度相続放棄をすると取り消せないので慎重な判断が必要です。また、原則として自己のために相続の開始があったのを知ったときから3カ月以内におこなわなければならない点に注意しましょう。
債務整理による家族への影響について気になっている方で、債務整理をしたら家族にバレるのか知りたいという方も多いのではないでしょうか。
債務整理をした際、それが家族に必ずバレるということはありません。ただし、場合によっては債務整理が家族にバレる場合もあるため、十分に注意する必要があります。
債務整理をしたとき、基本的には家族に知られずに手続きを進めることが可能です。司法書士や弁護士に依頼すれば、連絡は本人宛に限定し、書類の郵送方法なども工夫してくれるため、同居家族に気づかれにくいように配慮してもらえます。
特に、裁判所を介さない任意整理であれば、官報に掲載されるのもなく、自宅に裁判所からの書類が届くのもありません。家族に内緒で借金問題を解決したいと考えている方にとっては、任意整理を選択するのが一つのポイントになります。
関連記事:任意整理したらその後の生活はどう変わる?事前に把握すべき注意点や対策 | 佐藤司法書士事務所
債務整理が家族にバレる可能性があるケースは、以下の3つです。
一つずつ解説していきます。
債務整理の手続きを進めるなかで、裁判所や債権者からの重要な通知書類が自宅に郵送されると、同居している家族の目に触れてしまう可能性があります。裁判所を通した手続きとなる個人再生や自己破産では、申立書類や決定通知などが自宅に送られてくるのが一般的です。
司法書士や弁護士に依頼している場合は、書類の送付先を事務所に指定するなどの対応でリスクを減らせますが、絶対に知られないとは言い切れません。
夫婦などで共同名義の不動産や貯金といった財産がある場合、債務整理の手続き、特に自己破産などをおこなうと、その財産が処分の対象となったり、調査の過程で家族に知られたりする可能性が高いです。
共有名義の不動産を処分する際には、もう一方の名義人である家族の同意や協力が必要になるケースもあります。また、財産状況を明らかにするために、家族名義の口座であっても、実質的に本人の財産と見なされるものは報告義務が生じ、そこから発覚することも考えられます。
家族の誰かがあなたの借金の保証人や連帯保証人になっている場合、あなたが債務整理をおこなうと、その事実は保証人である家族に必ず知られます。なぜなら、あなたが返済できなくなった時点で、債権者は保証人に対して返済を請求してくるからです。
また、債務整理の開始通知が保証人に送付されるため、隠し通すのは不可能です。この場合、保証人にも大きな影響が及ぶため、事前に正直に事情を説明し、一緒に対応策を考えることが重要となります。
債務整理について家族に正直に伝えるべきか、それとも隠し通すべきかは非常に悩ましい問題ですが、基本的には正直に伝えて協力を得るのが望ましいといえます。
たしかに、伝えるのには勇気が必要で、家族に心配をかけたくないという気持ちも理解できます。しかし、債務整理は生活再建のための前向きな手続きであり、家族の理解と協力があれば、精神的な負担も軽減され、手続きもスムーズに進む場合が多いでしょう。
家族に債務整理の事実を伝えるタイミングとしては、司法書士や弁護士などの専門家に相談し、具体的な解決策や見通しがある程度立った段階が良いでしょう。
ただ借金があるという事実だけを伝えると、家族はいたずらに不安を感じてしまう可能性が高いです。専門家のアドバイスをもとに、なぜ債務整理が必要なのか、どのような手続きをおこなうのか、そして今後の生活がどうなるのかを具体的に説明できるよう準備しておくのがベストです。
伝え方としては、誠意をもって正直に、そして感情的にならず冷静に話すよう心がけましょう。
家族に迷惑をかけずに債務整理を進める方法として、以下2つの方法を解説していきます。
一つずつみていきましょう。
家族への影響を最小限に抑えたい場合、任意整理が有効な債務整理の方法です。
任意整理は、裁判所を介さず、司法書士や弁護士が代理人となって各債権者と個別に交渉し、将来利息のカットや分割払いの回数変更などを目指す手続きです。以下のような理由から、家族の生活への影響を抑えつつ、借金問題を解決できる可能性があります。
それぞれ解説していきます。
任意整理の大きな特徴の一つは、裁判所を介する必要がない点です。個人再生や自己破産のように、裁判所に申し立てをおこない、厳格な審査や手続きを経る必要がありません。
そのため、裁判所からの通知書類が自宅に届いたり、裁判所へ出頭したりする手間や精神的な負担が軽減されます。家族に知られるリスクも、裁判所が関与する手続きに比べて格段に低くなるでしょう。この手軽さが、任意整理が選ばれる理由の一つです。
任意整理は、家財を差し押さえられるリスクが最も低い債務整理手続きです。
自己破産のように財産を処分されたり、個人再生のように財産状況を厳しく調査されたりするのに比べて、任意整理では基本的に財産を手放す必要はありません。債権者との和解交渉が成立すれば、その合意内容に従って返済を続けるかたちになるため、生活に必要な家財道具やマイホーム、車などを失う心配が少ないのがメリットです。
ただし、既に給与差し押さえなどがおこなわれている場合は別途対応が必要です。
任意整理では、裁判所を通す手続きである自己破産や個人再生と異なり、自身の収入や家計の収支状況について、裁判所に詳細な報告書を提出する必要がありません。
もちろん、依頼した専門家には正確な収入状況などを伝える必要がありますが、裁判所への提出書類作成のために家族の収入証明などを集める手間や、家族に迷惑がかかったり事情が知られるリスクを避けられます。
任意整理の手続きをおこなっても、その事実が官報に掲載されることはありません。官報とは、国が発行する機関紙で、法律や政令、条約などが公布されるほか、自己破産や個人再生をおこなった人の氏名や住所が掲載されます。
一般の人が日常的に官報を見る機会はほとんどありませんが、掲載されるのを避けたいと考える方もいます。任意整理であれば、このような心配がないため、周囲に知られるリスクをさらに抑えられるでしょう。
債務整理を検討する際、家族への影響を最小限にしたいと考えるなら、司法書士に相談するのも選択肢の一つです。司法書士は、任意整理や書類作成支援などを通じて、借金問題の解決をサポートしてくれます。
また司法書士は、1社あたりの借金額が140万円以下であれば、弁護士と同様に代理人として交渉もおこなうことも可能です。相談者の状況を丁寧にヒアリングし、家族に配慮した進め方や、最適な解決策を提案してくれるでしょう。
福岡県の佐藤司法書士事務所では、債務整理に関する初回相談を無料で承っています。債務整理を検討中で専門家に相談したいとお考えの方は、ぜひ佐藤司法書士事務所までご相談ください。
いかがでしょうか。以下のような理由から、債務整理によって家族や子どもに影響が出る可能性は少ないといえます。
また、任意整理を選択したり、司法書士に相談したりすることで、家族に知られずに債務整理の手続きを進めることも可能です。できるだけ家族に迷惑をかけたくないとお考えの方は、ぜひ司法書士への相談を検討してください。
福岡市博多区にある佐藤司法書士事務所では、設立当初から債務整理に注力しており、15年以上の豊富な経験と実績があります。
「債務整理を検討している」
「債務整理が家族にバレないか心配」
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このようにお悩みの方は、お気軽に佐藤司法書士事務所へご相談ください。
コラム監修者