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自己破産で連帯保証人に与える影響は大きい!迷惑をかけない方法はある?

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自己破産で連帯保証人に与える影響は大きい!迷惑をかけない方法はある?

借金をしたとき、「連帯保証人」がつくことがあります。連帯保証人がついている借金を抱えるなかで自己破産を検討している方は、連帯保証人へどの程度の影響が出るのかが気になるポイントですよね。

そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • 自己破産をしたときの連帯保証人への影響
  • 連帯保証人と保証人の違い
  • 連帯保証人に迷惑をかけない方法
  • 連帯保証人の立場で自己破産をされたときの対処法

この記事を読むことで、自己破産と連帯保証人の関係を一から十まで理解できます。自己破産を検討されている方や、自身が連帯保証人に指定されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.自己破産をしても連帯保証人の返済義務はなくならない

自己破産は、借金をした本人の返済義務を免除する手続きですが、これによって連帯保証人の返済義務は消滅しません。つまり、自己破産者に連帯保証人がいる場合、その連帯保証人が借金の返済義務を負担することになります。

1-1.自己破産をすると連帯保証人が借金の請求をされる

債務者が自己破産すると、連帯保証人に対して一括で借金の支払いを求められることが多いです。そのため、支払い能力がない連帯保証人は自己破産の道を選ぶこともありえます。連帯保証人も、自己破産をすることが可能なためです。

債務者が背負っている借金が小額であれば、貯金の使用や消費者金融の利用で何とか返済できることもありますが、奨学金や住宅ローンのような大きな借金では返済が困難になることが多いのも事実。結果として、多くの連帯保証人は自己破産や他の債務整理をおこなうことになります。

債務者は、連帯保証人にもリスクがあることを考慮して自己破産を検討することが重要です。

1-1-1.連帯保証が原因で破産する方は意外と多い

連帯保証人になったことが原因で、破産に追い込まれる人は意外と多いんです。

2020年の破産事件及び個人再生事件記録調査によれば、他人の借金の保証や名義貸しなどで破産するケースは全体の約13.55%を占めています。つまり、破産者の中で自分の借金以外の理由で破産する人が10人に1人以上いるということです。

参考:2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会(外部リンク)

連帯保証人がいる状態で自己破産を検討されている方は、早めに債務整理の専門家へ相談することをお勧めします。

1-2.連帯保証人がついている借金の返済だけを優先するのはNG

連帯保証人に迷惑をかけまいと、その借金だけを先に返済しようとする気持ちは理解できます。しかし、特定の借金だけを優先的に返済することは「偏頗弁済」と呼ばれ、自己破産手続きで禁止されています。偏頗弁済をすると手続きが複雑になるだけでなく、最悪の場合自己破産が認められないことも。

したがって、連帯保証人の借金だけを優先して返済するのは避けてください。

1-3.連帯保証人にお金を渡すのもNG

連帯保証人に対し、破産手続きが完了する前に直接金銭を渡したり、高価な贈り物をするのも避けてください。連帯保証人に金品を渡す行為は手続きに影響を及ぼすだけでなく、借金の免責を受けられなくなるリスクがあります。

連帯保証人に対しお詫びをしたい場合は、免責許可決定が確定してからおこなうことが必要です。

1-4.自己破産よりも前に連帯保証人に相談しておく

自己破産をすることで連帯保証人に迷惑をかけてしまうことへの罪悪感から、事前に相談せずに手続きを進める方がいます。ですが、自己破産すると支払い義務が連帯保証人に移るため、自己破産を伝えないのはかえって大きな迷惑をかけることになります。

そのため、自己破産を考えている場合は、連帯保証人に状況を誠実に伝えることが重要です。また、連帯保証人も、いつでも借金を背負うリスクがあることを理解しておく必要があります。

1-5.連帯保証人の存在を隠して自己破産をしたらどうなる?

自己破産時に連帯保証人の存在を隠すことは避けるべきです。意図的に連帯保証人の情報を隠せば、免責が拒否される可能性があり、最悪の場合「詐欺破産罪」で訴えられることもあります。

裁判所は破産手続きの際に借金について徹底的に調査するため、連帯保証人や保証人付きの借金を隠すのはほとんど不可能です。自己破産を申告する際は、連帯保証人の情報を隠さずに正直に申告しなければなりません。

2.連帯保証人と保証人の違いとは?

連帯保証人に加えて、「保証人」という立場も存在します。名前が似ている両者ですが、明確な違いがあるんです。ここからは、どのような違いがあるのかを4つの視点から解説していきます。

2-1.責任の違い

連帯保証人と保証人の大きな違いは「責任の程度」です。

連帯保証人は、借金者と同等の責任を持ち、債権者から支払いを求められた際にはこれを拒否できません。

対照的に、保証人は主に借金者が返済不能になった場合にのみ返済義務が発生します。これは、保証人が「借金者の代わりに返済する人」という位置付けにあるためです。

2-2.返済時期の違い

保証人は「催告の抗弁権」という権利を持っており、債権者からの支払い要求に対して、まずは借金者に請求するよう要求することができます。

しかし、連帯保証人には催告の抗弁権がなく、債権者が支払いを求めれば直ちに支払い義務が生じます。借金者が支払い能力がありながら支払わない場合でも、連帯保証人は拒否する権利はありません。

2-3.返済額の違い

連帯保証人は、債権者からの支払い要求があった場合、通常は全額の支払い義務を1人で負います。複数の連帯保証人がいたとしても、要求された人だけが全額の責任を負うことになります。2020年4月1日からは、連帯保証人の最大支払い額(極度額)が設定されていますが、この額は債権者が決めるため、高額に設定されているのであればあまりメリットはありません。

一方保証人は、複数人いる場合それぞれが負担する額が分割されます(分別の利益)。たとえば、1,000万円の借金に2人の保証人がいる場合、一人あたり500万円の責任です。

2-4.差押の可否の違い

主債務者が返済せず差押えになった場合、保証人は主債務者の収入や資産があることを示せば、差押えを拒否することができます(検索の抗弁権)。

しかし、連帯保証人にはこの権利がなく、主債務者に催告した後でも、債権者は連帯保証人の財産に差押えをおこなうことが可能です。

3.連帯保証人に迷惑をかけない方法はある?

では、連帯保証人に迷惑をかけない方法はあるのでしょうか?今回は、対処法になりうる以下3つのことについて解説します。

  • 専門家に相談する
  • 連帯保証人に相談し一緒に自己破産してもらう
  • 自己破産ではなく任意整理を選択する

3-1.専門家に相談する

最初におこなうべきことは、弁護士との相談です。弁護士が代理人として債権者(たとえばローン会社)との間で交渉をおこなうことで、自己破産せずに分割払いでの返済が可能になる場合があります。

3-2.連帯保証人に相談し一緒に自己破産してもらう

債務者と同じく連帯保証人が支払い不能の場合、債務者と一緒に自己破産することが選択肢の一つです。

たとえば、奨学金を借りた子供の両親が連帯保証人の場合、子供が自己破産をすることを事前に知らせ、同時に両親の自己破産の手続きも依頼する方法があります。

また、ある条件下では自己破産ができないこともあります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
自己破産できない人やケースとは?自己破産できないときの対処法も解説

3-3.自己破産ではなく任意整理を選択する

繰り返し述べたように、借り手が自己破産すると、連帯保証人が返済を求められることが多いです。

そのため、自己破産ではなく任意整理を選択することも一つの手段です。

3-3-1.任意整理とは?

任意整理とは、債務者が弁護士に代理を依頼して、ローン会社や銀行・クレジットカード会社などの債権者と交渉し、借金の金額や返済条件を見直す手続きです。

任意整理の際、弁護士は元本の減額や金利のカットを交渉し、返済期間を3年から5年程度に再設定をおこなうことで、毎月の返済額を減少させることが可能です。

しかし、任意整理は全ての債務者に利用できるわけではなく、債権者の同意が必要なことに注意しなければなりません。月々の返済額が少なすぎる場合や債務者が減額された借金を継続的に返済する見込みが低いと判断すれば、債権者が任意整理の申し出を受け入れない可能性も。したがって、任意整理を利用するには以下のような条件を満たしておく必要があります。

  • 借金の額が大きすぎないこと
  • 今後安定した収入が見込まれること

以下の記事で「任意整理で後悔しないためにできること」を解説していますので、あわせてご覧ください。
任意整理は意味ない・しなければよかったと後悔しないためにできること

4.連帯保証人の立場で自己破産をされたときの対処法

自身が連帯保証人の立場で自己破産をされたときの対処法をご紹介します。今回ご紹介するのは、以下2つの対処法です。

  • 分割払いとなるよう交渉する
  • 債務整理を検討する

4-1.分割払いとなるよう交渉する

連帯保証人として債務者の自己破産に直面した場合、債権者との交渉により分割払いへの変更が可能です。ただし、債権者が納得する返済計画や条件を提示することが必要です。

債権者との協議で合意に至れば、負担を軽減しながら返済を続けることができます。

4-2.債務整理を検討する

もし債権者との分割払い交渉が失敗に終われば、債務整理の検討が必要です。返済可能な範囲で借金を減額する方法として、自己破産以外に任意整理や個人再生があります。債務整理の手続きは、司法書士や弁護士などの専門家に依頼しましょう。

任意整理では裁判所を介さず、債権者と直接交渉して、通常は元本のみを3~5年で分割返済します。一方で、個人再生は返済困難を裁判所に訴え、再生計画が承認されると1/5から1/10程度に借金を減額できる方法です。

5.債務者ではなく連帯保証人が自己破産したらどうなる?

債務者ではなく連帯保証人が自己破産する場合、債務者の借金に与える影響は重要です。自己破産後は、連帯保証人としての資格を失うため、債権者は債務者に新しい保証人を提供することを要求する可能性があります。自己破産者は、ブラックリストに登録され、保証人として不適格であると民法で規定されています。

また、もし債権者が連帯保証人を指定していた場合、新しい保証人を見つける責任は債権者にあります。債権者によって新しい保証人の選定が困難な場合、債務者は期限の利益を失い、残りの借金を一括で返済するよう求められることがあるため注意しなければなりません。また、債権者との交渉次第で分割払いとなる可能性もあります。

6.まとめ

自己破産によって連帯保証人に与える影響は大きいです。自己破産したタイミングから、連帯保証人に支払いの義務が生じます。そのため、自己破産をするときはまず連帯保証人へ相談をするべきです。

また、専門家に相談したり、連帯保証人に相談し一緒に自己破産してもらったり、自己破産ではなく任意整理を選択したりすることで、連帯保証人へできるだけ迷惑をかけずに借金を整理できます。

福岡市博多区にある佐藤司法書士事務所では、設立当初から自己破産に注力しており、15年以上の豊富な経験と実績があります。加えて、初回相談・着手金・減額成功報酬0円で承っております。

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コラム監修者

佐藤司法書士事務所 佐藤 直幸
佐藤 直幸
福岡市で債務整理業務15年以上で経験豊富な司法書士
借金の問題は「早く解決したほうがいい」ということに尽きます。
長く放置して解決できなくなる前にご相談ください。
相談しにくいことではあると思いますが、敷居を低くしてお待ちしていますので
遠慮なくご連絡いただけると幸いです。
誠心誠意対応させていただきます。早めにご相談ください。
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