債務整理
債務整理
「借金の返済が苦しくなってきたけれど、任意整理をしたら会社にバレるのでは?」といった不安から、なかなか債務整理に踏み出せない方は少なくありません。
任意整理は裁判所を通さずに手続きできるため、基本的には勤務先に知られることなく借金問題を解決できる方法です。
しかし、特定のケースでは会社に知られてしまう可能性もあるため、正しい知識と対策が必要です。
この記事では、任意整理が会社にバレるリスクの有無や、バレてしまう主な原因、そしてバレないようにするための具体的な対策までをわかりやすく解説します。
「会社に知られずに借金を整理したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
結論から言えば、任意整理をしたことが会社に直接知られるケースはほとんどありません。
任意整理はあくまで個人と債権者(貸金業者など)との間でおこなう私的な手続きであり、会社に報告が義務づけられているわけではないからです。
では、なぜ任意整理が会社にバレることはないのでしょうか。その具体的な理由について、以下の4つを解説していきます。
それぞれ見ていきましょう。
任意整理の手続きを司法書士や弁護士に依頼した場合、その専門家があなたの勤務先に許可なく連絡することは原則としてありません。専門家には守秘義務があり、依頼者のプライバシーに関わる情報を正当な理由なく第三者に漏らすことは固く禁じられています。
また、交渉相手となる貸金業者などの債権者も、貸金業法によって、正当な理由なく債務者の勤務先に電話をかけたり訪問したりしてはいけないと定められています。
通常、すべての連絡や交渉は代理人である専門家を通じておこなわれるため、手続きが原因で会社に直接連絡が入る心配はまずありません。
会社が、「任意整理をした」という事実を含む従業員の信用情報を、勝手に信用情報機関に問い合わせて調べることは法律で禁止されています。
任意整理をすると、信用情報に事故情報が掲載され、いわゆる「ブラックリスト」に載った状態となります。そして信用情報には、そのほかに個人の借入状況や返済履歴など、非常にプライベートな情報が掲載されています。
これらの情報は、信用情報機関によって厳重に管理されており、本人の同意なしに企業などが自由にアクセスできるものではありません。
会社が採用活動や人事評価のために従業員の信用情報を照会することは原則として認められていないため、信用情報を通じて任意整理の事実が会社に知られることはないのです。
関連記事:【徹底解説】任意整理とブラックリストの関係!いつ登録され何年で消える?
任意整理は、自己破産や個人再生といった他の債務整理手続きとは異なり、その事実が国の発行する「官報」という公的な広報誌に掲載されることはありません。
自己破産や個人再生は裁判所を介した法的な手続きであるため、手続きの開始決定や免責決定などの情報が官報に公告されます。官報は一般の人も閲覧できるため、そこから情報が漏れる可能性はゼロとは言えません。
しかし、任意整理は裁判所を通さず、債権者と直接話し合って和解を目指す私的な手続きです。そのため、官報に氏名や住所などが載ることは一切なく、官報が原因で会社に知られる心配はありません。
任意整理の手続きを進めるにあたって、勤務先の会社に書類の発行を依頼したり、会社から書類を取得したりする必要はありません。
自己破産や個人再生の手続きでは、収入証明や退職金見込額証明書など、会社に発行を依頼しなければならない書類が必要になる場合があります。しかし、任意整理は裁判所を通さない手続きであり、収入状況を示すために給与明細のコピーなどを提出することはあっても、それはご自身で用意できるものです。
会社に書類の申請をおこなう必要がないため、手続きの過程で会社に知られるきっかけがありません。
場合によっては、任意整理したことが会社にバレるリスクがあるのも事実です。任意整理をしたことで会社に知られてしまう可能性があるケースとしては、主に次の6つが挙げられます。
それぞれ解説します。
任意整理をしたあとも含め、借金の返済を長期間滞納してしまうと、債権者(貸金業者など)から給与の差押えを申し立てられる可能性があります。
特に、債権者や弁護士・司法書士などの専門家にも連絡せず、二回以上返済を滞納した場合、給与の差押えを申し立てるリスクが高まるのです。
給与差押えは裁判所を通じて会社に直接通知が行くため、会社に借金問題が知られる原因となります。
このとき、給与が差し押さえられても、任意整理を行ったこと自体が知られるわけではありません。
ただし、借金の返済に問題があることが会社に伝わるため、信用面で影響を及ぼす可能性があります。
債権者に職場の連絡先を伝えている場合、返済が滞ったときに督促の電話が職場にかかってくることがあります。
通常、任意整理手続中であれば債権者からの連絡は止まりますが、弁護士や司法書士に依頼していない場合や、連絡先の更新を怠っていると、会社に連絡が入る可能性があります。
任意整理の過程では、弁護士や債権者からの郵送物が届くことがあります。
郵便物を家族や同居人などの関係者に見られてしまい、間接的に会社に情報が漏れるリスクもあるため、郵送物の管理には十分な注意が必要です。
勤務先の会社が福利厚生などで設けている従業員貸付制度を利用している場合、その借金を任意整理の対象に含めると、会社に任意整理の事実が知られる可能性は極めて高くなります。
任意整理は、減額交渉する債権者を選んでおこなう手続きですが、会社からの借金を整理対象にするということは、会社そのものが交渉相手になるためです。
従業員貸付を利用している場合、基本的には任意整理の対象としないことが無難です。
ご自身の借金の悩みや任意整理の手続きを進めている状況などを、XやFacebook、InstagramといったSNSに書き込んだ場合、その投稿がきっかけで会社の人に知られてしまうリスクがあります。
たとえ匿名のアカウントで投稿していても、日々の投稿内容や写真、交友関係などから個人が特定されてしまう可能性は否定できません。
プライベートな情報ですので、不特定多数の目に触れる可能性があるSNSへの書き込みは控えるのが賢明です。
お使いの社員証にクレジットカード機能が付帯しており、そのカード会社を任意整理の対象に含めた場合、カードが利用停止になるなどの影響を通じて、会社に任意整理の事実が間接的に伝わる可能性があります。
任意整理の対象としたクレジットカードは、いずれ利用できなくなり、最終的には解約扱いとなります。もしその社員証一体型カードが、会社の入退室管理システムの鍵や、社員食堂での決済手段として利用されている場合、カードが使えなくなることで不都合が生じ、総務部や経理部などに問い合わせる過程で事情を知られる可能性もあるのです。
関連記事:任意整理中や和解後にクレジットカードは作れる?作れたケースとは?
任意整理をしたことが会社にバレないようにするためには、下記のような対策が有効です。
それぞれ解説します。
任意整理は、専門家である司法書士や弁護士に依頼することで、債権者とのやり取りをすべて代行してもらえます。
これにより、職場に連絡が入るリスクを大幅に減らすことができます。
また、受任通知が債権者に送られることで、督促行為もストップします。
借入時に職場の連絡先を登録していた場合でも、任意整理を始める前にその情報を更新せず、債権者には自宅や携帯電話のみを連絡先として伝えることが重要です。
職場に連絡されるリスクを減らすためにも、個人用の連絡手段に一本化しましょう。
郵送物が家族や同僚など第三者の目に触れることのないよう、郵便局の転送サービスを利用したり、弁護士事務所に郵送物の送付を一時停止してもらうなどの工夫が効果的です。
また、書面でのやり取りではなく、メールで対応できる事務所を選ぶのも一つの手です。
返済が厳しいと感じたら、差押えのような強制執行を受ける前に、できるだけ早く任意整理を検討しましょう。また、返済を滞納しなことも、給与を差し押さえられないための重要なポイントです。
早期の相談と手続きが、会社にバレる事態を防ぐ大きなポイントとなります。
たとえ会社に任意整理の事実がバレたとしても、それだけを理由に解雇されることは基本的にありません。また、減給や降格なども同様です。
労働基準法では、「個人の借金や債務整理を理由とした解雇は不当」とされています。
ただし、勤務態度に影響が出たり、会社の信用に関わるような場合には問題視される可能性もゼロではないため、慎重に行動することが大切です。
関連記事:任意整理したらその後の生活はどう変わる?事前に把握すべき注意点や対策
任意整理が会社にバレるリスクを最小限に抑えるには、信頼できる弁護士や司法書士に相談するのが一番の近道です。
専門家に依頼すれば、債権者との連絡窓口を一任できるため、会社や家族に知られる可能性を限りなく低く抑えられます。
借金問題は一人で抱え込まず、まずは無料相談などを活用して、早めに一歩踏み出してみましょう。
コラム監修者