債務整理
債務整理
「住宅ローン以外の借金がかさみ、返済が苦しい…でも、債務整理を考えたくても家族が住む家だけは手放したくない…」という想いが、債務整理をためらわせていませんか?ですが、住宅ローンを払いながら債務整理する手段はあります。
また、債務整理後に住宅ローンを組むことも可能です。
そこでこの記事では、主に以下の内容を解説しています。
債務整理と住宅ローンの関係について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
住宅ローン返済中の家があっても、債務整理によって必ず家を失うわけではなく、家を守りながら借金だけを整理できる方法があります。
債務整理には、主に以下3つの方法がありますが、それぞれで家の扱いは全く異なります。
ご自身の状況に合わせて最適な手続きを選択することが、家を守るための鍵です。
「個人再生」は、裁判所に申し立て、借金を大幅に減額してもらう手続きです。「住宅ローン特則」を利用すれば、家を残せる可能性があります。
住宅ローン特則を使うと、住宅ローンだけは今まで通り(あるいはより緩やかな計画で)返済を続け、カードローンなどの借金だけを、元本の5分の1から10分の1程度に圧縮することが可能になります。
さらに詳しく解説していきます。
住宅ローン特則の仕組みは、住宅ローンを個人再生による減額の対象から除外し、そのまま返済を続けることで、金融機関による家の競売を防ぐというものです。
通常、債権者は平等に扱わなければなりませんが、住宅ローン特則では住宅ローンだけを特別扱いすることを法律で認めています。これにより、個人再生者は家に住み続けながらほかの借金返済だけに集中できます。
借金問題を解決しつつ、家族の生活基盤であるマイホームを守れるのが、住宅ローン特則の最大の利点です。
住宅ローン特則を利用するためには、その住宅ローンが「住宅の建設や購入に必要な資金のローン」であることや、「ご自身が所有し、居住している家」であることなど、いくつかの条件をクリアする必要があります。
事業用の資金も含まれるローンや、別荘のローン、あるいは住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合などは、この特則を利用できない可能性があります。
ご自身のローンが、この条件に当てはまるかどうかを、事前に専門家へ相談して確認することが重要です。
住宅ローン特則が利用できない代表的なケースは、住宅ローンをすでに長期間滞納し、保証会社が代わりに返済(代位弁済)してしまっている場合です。代位弁済がおこなわれると、あなたの債権者は銀行から保証会社に移りますが、保証会社は住宅ローン特則の対象外となります。
また、自宅不動産に、住宅ローン以外の借金の担保が設定されている場合も、原則として利用できません。手遅れになる前に、返済が苦しくなったら、できるだけ早い段階で司法書士や弁護士などの専門家に相談することが大切です。
任意整理では、整理対象の借金を選べるため、住宅ローンを借金減額の交渉から外すことが可能です。これにより、自宅に住み続けながらカードローン等の返済負担を軽減できるのが最大のメリットです。
ただし、任意整理後も住宅ローンの返済はこれまで通り続ける必要があります。返済が滞れば家を失うリスクがあるため、将来の返済計画を確実なものにすることが重要です。
また、手続きをすると信用情報に事故情報が登録され、完済後も約5年間は新たなローンやクレジットカードの利用が困難になります。
ご自身の状況で住宅ローンと圧縮された借金の両方を返済していけるか、まずは司法書士や弁護士といった専門家に相談し、慎重に判断しましょう。
関連記事:【徹底解説】任意整理とブラックリストの関係!いつ登録され何年で消える?
自己破産は、裁判所に借金の支払いが不可能であることを認めてもらい、原則として全ての借金の支払い義務を免除してもらう手続きで、家は必ず手放すことになります。住宅ローンが残っている家は、高価な「財産」と見なされ、破産管財人によって売却されるためです。
家をはじめとした保有している財産の売却代金が、金融機関などの債権者へ公平に分配されることになるのです。どうしても借金の返済が不可能で、家を残すことも諦めなければならない場合の、最終的な手段が自己破産です。
関連記事:自己破産するとできないことって何?できないと誤解されがちなことも解説
債務整理の手続き後でも、信用情報機関に登録された事故情報が抹消される約5年が経過すれば、新たに住宅ローンを組める可能性は十分にあります。
金融機関は、住宅ローンの審査時に必ず信用情報を照会します。事故情報が登録されている期間中は、返済能力に問題があると判断され、審査に通るのは極めて困難です。しかし事故情報が消えれば、審査のスタートラインに再び立つことができます。
債務整理から5年経過後に住宅ローンを組む際の注意点を2点解説していきます。
住宅ローンの申し込みを検討する前に、まずご自身の信用情報に事故情報があるかどうかを調べる必要があります。信用情報機関にご自身で開示請求し、事故情報がきちんと消えているかを確認することが重要です。
日本には、主に以下3つの信用情報機関があり、インターネットや郵送で開示請求をおこなえます。
信用情報に事故情報が残っている状態で住宅ローンを申し込んでも、審査に通ることはありません。
事故情報が消えるまでの期間は、完済してから5年とされていますが、この期間はあくまで目安です。住宅ローンを申し込む前に、ご自身の信用情報がクリーンな状態になっているかを確認するのが、確実な第一歩です。
信用情報機関の事故情報が消えても、過去に任意整理の対象とした金融機関や、そのグループ会社では、住宅ローンを組めない可能性が非常に高いです。信用情報機関の情報とは別に、各金融機関が独自に顧客の過去の取引履歴を「社内ブラック」として半永久的に保管しているためです。
住宅ローンを申し込む際は、過去に任意整理をおこなった金融機関とそのグループ会社は、避けて申し込むのが賢明です。
ご自身の信用情報に事故情報が登録されている期間中に、ご自身の名義で住宅ローンを組むのは、原則として極めて困難です。しかし、以下のような方法をとることで、住宅ローンを組むための代替策を検討できる場合があります。
これらは確実な方法ではありませんが、可能性として知っておくと良いでしょう。
ご自身の配偶者に安定した収入があり、信用情報に問題がない場合に、配偶者の単独名義で住宅ローンを組める可能性があります。
住宅ローンの審査は、あくまで申込者本人の信用情報にもとづいておこなわれます。そのため、ご自身の信用情報に問題があっても、配偶者の返済能力が十分だと金融機関が判断すれば、ローンを組むことが可能です。
ただしこの方法では、事故情報のある方が連帯保証人になることはできない点に注意が必要です。
親族などに、安定した収入のある連帯保証人を立てることで、金融機関の審査が有利に働く可能性はあります。
ただし、住宅ローンの審査で最も重視されるのは、あくまで契約者本人の返済能力と信用情報です。連帯保証人がいたとしても、契約者本人に事故情報があれば、審査に通るのは依然として非常に難しいのが実情です。
連帯保証人を立てる方法は、あくまで補強材料の一つに過ぎないと理解しておきましょう。
事故情報が消えるまでの期間に、できるだけ多くの頭金を準備しておくことは、将来の住宅ローン審査において、非常に有利に働きます。頭金を多く準備できるということは、計画的に貯蓄ができるという、経済的な安定性の証明になるためです。
また、借入額そのものが減るため、金融機関側の貸し倒れリスクが低減し、審査に通りやすくなる傾向があります。
将来の住宅購入に向け、信用情報の回復を待ちながら、着実に自己資金を貯めておくのが賢明な戦略です。
ここでは、住宅ローン返済中の債務整理について、多くの方が抱く疑問にお答えします。
いいえ、債務整理によって住宅ローン自体を減額することはできません。
個人再生の住宅ローン特則を利用する場合、ほかの借金は減額されますが、住宅ローン自体を減額することはできません。住宅ローン特則は、あくまで住宅ローンはそのまま全額を返済し続けることを条件にほかの借金を整理して家を守る、という仕組みだからです。
住宅ローンの返済計画の見直しについては、別途金融機関との交渉が必要になります。
あなたが債務整理をする借金に、連帯保証人がいる場合、その連帯保証人に一括請求がいくため、多大な迷惑をかけることになります。ただし、個人再生の住宅ローン特則を利用する場合、整理の対象は住宅ローン以外の借金です。そのため、住宅ローンのみの連帯保証人には影響はありません。
しかし、ほかのカードローンなどに連帯保証人がいる場合はその方に請求がいくため、手続きの前に必ず相談が必要です。
関連記事:自己破産で連帯保証人に与える影響は大きい!迷惑をかけない方法はある?
はい、任意整理、個人再生、自己破産といった、どの債務整理手続きをしても、信用情報機関に事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。
事故情報が登録されている間(約5年〜7年)、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作成したりすることは極めて困難になります。
債務整理は、借金を解決するための有効な手段ですが、こうしたデメリットも正しく理解しておく必要があります。
この記事では、住宅ローン返済中に債務整理をおこなう場合の各手続きの違いと、家を残すための具体的な方法「住宅ローン特則」について詳しく解説しました。
ご覧いただいたように、借金の返済が困難になっても、「家を手放す」という選択肢しかないわけではありません。あなたの状況に合った正しい法的手続きを選べば、家族の生活基盤を守りながら、人生を再スタートさせることが可能です。
一人で悩み、手遅れになってしまう前に、まずは司法書士や弁護士などの専門家へ相談をしてみてはいかがでしょうか。
福岡市博多区にある佐藤司法書士事務所では、設立当初から債務整理に注力しており、15年以上の豊富な経験と実績があります。
「債務整理を検討している」
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このようにお悩みの方は、お気軽に佐藤司法書士事務所へご相談ください。
コラム監修者