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任意整理完済後すぐにカードやローンは申し込める?完済後の注意点も解説

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任意整理完済後すぐにカードやローンは申し込める?完済後の注意点も解説

「任意整理の完済後、すぐにカードやローンを申し込むことはできるの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。

結論をいえば、完済後すぐにクレジットカードやローンの審査に通ることは困難です。

信用情報機関に登録されている事故情報(いわゆるブラックリスト)が関係しています。

この記事では、以下の内容を解説しています。

  • 任意整理完済後すぐにクレジットカードやローンを申し込めない理由
  • 申し込めるようになるタイミングと申し込んでも審査に通らないときの理由
  • 任意整理完済後にカード・ローンの審査を申し込むときの注意点

任意整理中の方や任意整理完済後の方に参考となる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.任意整理完済後も約5年はクレジットカードやローンを申し込めない

結論からいうと、任意整理完済後すぐにクレジットカードやローンを申し込むことは基本的にできません。

任意整理をすると、信用情報機関(個人の借入状況や返済情報などを管理している機関)に事故情報が登録されます。(いわゆるブラックリスト)

ブラックリストに登録されると、その事実をカード会社や金融機関が確認できるようになるため、クレジットカードやローンを新規で申し込めなくなります。

そして、任意整理完済後すぐにブラックリストから名前が消えるわけではありません。

そのため、たとえ任意整理を完済したとしても、すぐにクレジットカードやローンを申し込むことはできないというわけです。

1-1.任意整理完済後も約5年はブラックリストに情報が残る

任意整理完済後も、約5年はブラックリストに情報が残るとされています。

任意整理を始めてから完済までがおおよそ3年〜5年ですから、合計で8年〜10年程度ブラックリストに情報が掲載され続けるということです。

ブラックリストから情報が消えるまでは、クレジットカードやローンの申し込みは控えるようにしてください。

1-2.ブラックリスト期間中に使えないサービスは?

ブラックリスト期間中は、以下のサービスが利用できない可能性があります。

  • クレジットカードを使えなくなる
  • 住宅や自動車のローンが組めなくなる
  • 携帯やスマートフォンの分割購入ができなくなる
  • 新規で賃貸契約ができなくなる
  • 保証人や連帯保証人になれない
  • 銀行や消費者金融から新規で借入れられなくなる

クレジットカードについては、以下のようなサービスが代替となります。

  • デビットカード
  • プリペイドカード
  • 家族カード
  • PayPayやLINE PayなどのQRコード決済

自身の経済状況に応じて、最適なサービスを選択するようにしましょう。

任意整理をクレジットカードの関係については、以下の記事をご覧ください。

任意整理中クレジットカードは作れる?作れたケースとは?和解後はどう?

1-3.任意整理をしても影響のないサービス

一方で、任意整理をしてブラックリストに登録されても、たとえば以下のようなサービスは生活に影響しません。

  • 銀行口座の開設
  • 生命保険への加入

任意整理とブラックリストの関係については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

【徹底解説】任意整理とブラックリストの関係!いつ登録され何年で消える?

2【信用情報機関別】ブラックリストから消えるタイミング

ブラックリストから情報が消えるまでのタイミングは、信用情報機関によって異なります。

今回は、日本国内にある3つの信用情報機関別に、ブラックリストから情報が消えるタイミングをご紹介します。

2-1.JICC(日本信用情報機関)の場合

JICCは、「消費者金融をはじめとした貸付業者との取引履歴」を取り扱う信用情報機関です。

JICCの場合、「契約日」によってブラックリストから消えるタイミングが変わります。

ブラックリストに登録される条件ブラックリストから情報が消えるタイミング(契約日が2019年9月30日以前の場合)ブラックリストから情報が消えるタイミング(契約日が2019年10月1日以降の場合)
任意整理をした任意整理をした事実の発生日から5年を超えない期間契約が終了してから5年以内
保証会社によって代位弁済された代位弁済がされた事実の発生日から5年を超えない期間契約が終了してから5年以内
返済を3ヶ月以上延滞した延滞継続中・延滞が解消された事実に係る情報について、その事実が発生した日から1年を超えない期間契約が終了してから5年以内

実は、任意整理によってブラックリストに登録される信用情報機関はJICCのみです。

ですが、ブラックリストの情報はすべての信用情報機関の間で共有されます。

そのため、任意整理を開始しJICCのブラックリストに登録された時点で、クレジットカードやローンの審査に通らなくなってしまうというわけです。

また、任意整理だけでなく「代位弁済(お金を借りた本人が借金を返済できないために、保証会社といった第三者が代わりとなって借金を返済すること)」や「返済の延滞」によってもブラックリストに登録されることがあります。

2-2.CIC(株式会社シー・アイ・シー)の場合

CICは、「クレジットカードでの支払い履歴」を取り扱う信用情報機関です。

ブラックリストに登録される条件ブラックリストから情報が消えるタイミング
保証会社によって代位弁済された契約終了後から5年以内
返済を3ヶ月以上延滞した契約終了後から5年以内

任意整理をしてもCICのブラックリストへ登録されることはありませんが、代位弁済や返済の延滞によってブラックリストに登録されます。

2-3.KSC(全国銀行個人信用情報センター)の場合

KSCは、「銀行や地方銀行などの金融機関との取引履歴」を取り扱う信用情報機関です。

ブラックリストに登録される条件ブラックリストから情報が消えるタイミング
保証会社によって代位弁済された契約終了後から5年を超過しない期間
返済を3ヶ月以上延滞した契約終了後から5年を超過しない期間※ただし完済していない場合は、完済した日から5年を超過しない期間

KSCの場合、CIC同様に代位弁済や返済の延滞によってブラックリストへ登録されます。

3.任意整理完済後にカード・ローンの審査を申し込むときの注意点

任意整理完済後にカード・ローンの審査を申し込むときは、以下の5点に注意してください。

  1. 信用情報機とにブラックリストから削除される時期が異なる
  2. 金融機関独自の「社内ブラック」に情報が残っている可能性がある
  3. 短期間でいくつもの金融機関に申し込まない
  4. クレジットヒストリーを作っておく
  5. 信用情報以外の審査ポイントを確認する

3-1.信用情報機関ごとにブラックリストから削除される時期が異なる

前述したように、信用情報機関ごとにそれぞれ事故情報を保持する期間が異なります。

そのため、たとえば任意整理完済後から5年経過したタイミングでJICCからは情報が消えていたとしても、CICからは情報が消えていないこともあります。

信用情報機関によって、事故情報が消えるタイミングや条件が統一されていないことを理解しておきましょう。

3-1-1.ブラックリストから削除されているか確認する方法

新たに審査を申し込む際は、ブラックリストから情報が消えているかを確認してください。

可能であれば、3つの信用情報機関すべてに確認をおこなうのが良いです。

信用情報機関ごとに情報開示請求のおこない方は異なり、手数料も異なります。

信用情報機関情報開示の方法手数料
JICC(日本信用情報機関)アプリ・郵送・窓口500円〜1,000円
CIC(株式会社シー・アイ・シー)インターネット・郵送・窓口500円〜1,000円
KSC(全国銀行個人信用情報センター)郵送1,000円

詳しくは、各ホームページを確認してください。

3-2.金融機関独自の「社内ブラック」に情報が残っている可能性がある

信用情報機関ではなく、任意整理をした金融機関独自の「社内ブラック」に情報が残っている可能性も考えられます。

社内ブラックへ「過去に任意整理をされた相手」という情報が残り続けていれば、その金融機関の審査に通ることは難しいです。

また、社内ブラックはその金融機関のグループ会社まで共有されているという点にも注意が必要です。

3-2-1.任意整理をした金融機関は利用しない

任意整理をおこなった金融機関と、そのグループ会社の金融機関へ再び審査を申し込むことは避けましょう。

金融機関によって異なりますが、「社内ブラック」として過去に任意整理をおこなった事実が残り続けていることで、審査に通りにくくなるからです。

そのため、最初から任意整理先とは別の金融機関を選び、クレジットカードやローンの審査を申し込むのがおすすめです。

3-3.短期間でいくつもの金融機関に申し込まない

短期間でいくつもの金融機関へ審査を申し込まないようにしてください。

短期間に多くの金融機関へクレジットカードやローンの申し込みをおこなうと、以下のように判断される可能性があるため、おすすめできません。

  • 他社の審査に通っていないことで複数社に申し込んでいるのではないか
  • 今後支払いが滞ることがあるのではないか

「金融機関へ申し込みをおこなった」という事実は信用情報機関に約6ヶ月残るため、何度も申し込みをおこなうと、いわゆる「申し込みブラック」という状態となり審査に通りにくくなります。

そのため、1ヶ月ですでに2社への審査を申し込んでいる場合は、最低でも半年は期間を空けてから次の申し込みをするようにしましょう。

3-4.クレジットヒストリーを作っておく

新たに審査を申し込むときは、「クレジットヒストリー」を作っておくことが重要です。

クレジットヒストリーとは、主にクレジットカードの利用履歴を指し、個人の信用力を図るための材料となります。

任意整理の完済後は、金融機関での取引履歴が完全に削除され白紙の状態です。

クレジットヒストリーがないまま審査に申し込んでしまうと、「これから確実に返済される確証が得られない=信用力に不足している」として、審査に通らないことがあります。

そのため、小額のショッピングクレジットなどから始め、きちんと返済することで信用情報を積み重ねましょう。

3-5.信用情報以外の審査ポイントを確認する

クレジットカードやローンを申し込んだとき、信用情報以外の審査ポイントに抵触することで、金融機関の審査に通らないことがあります。

信用情報以外の審査ポイントとして、たとえば以下のような点が確認されます。

  • 収入状況
  • 勤務状況
  • 生活環境

これらに問題があると、審査に通らない可能性があります。

4.任意整理完済後の債権者からの連絡方法

最後に、任意整理完済後の債権者からどのようにして連絡が来るのかを解説します。

4-1.任意整理完済後は書類が郵送されることがある

任意整理の完済後、債権者から完済を証明する「完済証明書」といった重要な書類が郵送されることがあります。

郵送先としては、主に以下の2通りです。

  • 任意整理後に弁護士へ返済額の振り込みをしている場合は弁護士事務所に届く
  • 任意整理後に自身で返済している場合は自宅に送付される

書類が自宅に郵送されることで家族や親族に任意整理の事実がばれたくない場合は、債権者からの郵送物を自宅以外の住所に届けてもらうようにする、といった方法も可能です。

4-2.任意整理完済後に電話連絡は来ない

任意整理が完済したあと、債権者から電話連絡が来ることは基本的にありません。

任意整理が完了し、すべての債務が完済した場合、債権者と債務者との間の金銭的な関係は終了するためです。

ただし、完済証明書の送付や過払い金の返還請求など、特定の手続きをおこなうために連絡が来る場合もあります。

それらの連絡は大切な手続きに関わりますので、きちんと対応することが重要です。

5.【まとめ】任意整理は早めに専門家へ相談しよう

いかがでしょうか。

任意整理完済後すぐにクレジットカードやローンの審査に通ることは困難です。

そして、任意整理完済後から5年が経過していても、審査を申し込むときは一定の注意点を理解したうえで慎重に進めましょう。

また、専門家へ早めに任意整理の相談をすることで、将来新たにクレジットカードやローンを申し込めるようになるまでの時間を短くできます。

福岡市博多区にある佐藤司法書士事務所では、設立当初から債務整理に注力しており、15年以上の豊富な経験と実績があります。

加えて、初回相談・着手金・減額成功報酬0円で承っておりますので、金銭面や債務整理にお困りの方もお気軽にご相談ください。

「任意整理中だけど借入をしたい」
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このようにお悩みの方は、お気軽に佐藤司法書士事務所へご相談ください。

コラム監修者

佐藤司法書士事務所 佐藤 直幸
佐藤 直幸
福岡市で債務整理業務15年以上で経験豊富な司法書士
借金の問題は「早く解決したほうがいい」ということに尽きます。
長く放置して解決できなくなる前にご相談ください。
相談しにくいことではあると思いますが、敷居を低くしてお待ちしていますので
遠慮なくご連絡いただけると幸いです。
誠心誠意対応させていただきます。早めにご相談ください。
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